住宅ローンで自宅を保有している方が、借金を返せなくなったときに検討することが多い個人再生ですが、法的手続きであるためどうしても費用がかかります。
個人再生にはどの程度の費用が必要なのでしょうか。
このページでは、個人再生の費用がどの程度なのか、その相場や安くする方法についてお伝えします。

目次
個人再生とは?
個人再生にどのような費用がかかるかを確認する前提として、個人再生とはどのような手続きなのかを確認しましょう。
個人再生とは、民事再生法第13章に規定されている、小規模個人再生と給与所得者等再生という、個人が利用することが想定されている規定に基づいて行なう債務整理手続きです。
借金を最大1/10に減額してもらって、分割して返済していくことが可能な手続きとなっています。
自己破産をすると職業制限によって仕事を退職しなければならない方は、自己破産をせずに個人再生で職業制限にかからずに債務整理をすることが可能です。
また、住宅ローンで住宅を購入した方は、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すれば、住宅を持ち続ける事が可能です。
そのため、任意整理では債務の支払ができないが、自己破産では職業制限にかかる場合・住宅を住宅ローンで購入した場合、に個人再生は利用されます。
個人再生の費用はどのくらいかかる?詳しい内訳をチェック
個人再生の費用:平均相場は30万円~70万円(弁護士・司法書士に対する費用)
個人再生の費用がどの程度かかるのかを確認しましょう。
個人再生にかかる費用の内訳として、大きく分けると
- 弁護士・司法書士に対する費用
- 個人再生の申立てにかかる費用
があり、それぞれさらに細かく費用の種類が分かれています。
弁護士・司法書士への相談料
個人再生などの債務整理は、まず弁護士・司法書士に相談を行います。弁護士・司法書士に相談をするには、30分5,000円程度の相談料の支払いをしなければなりません。
なお、個人再生や債務整理については、相談料の支払いすら厳しいという方がほとんどなので、債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士は通常は無料で相談を受け付けています。
着手金
弁護士・司法書士に案件の依頼をする場合には、まず着手金の支払をする必要があります。個人再生の場合、25万円~50万円程度が着手金の相場になります。
成功報酬を請求する場合には着手金は低めで、成功報酬を請求しない場合には着手金が多めになる傾向があります。
着手金は、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合に加算されることがあります。
25万を超える支払いが難しい方は多いかと思いますが、債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士は、着手金の分割支払いを認めているので、無理なく支払えるようにしてくれています。
事務所によって、単に報酬としているケースや、基本報酬と呼んでいるケースもあります。
成功報酬
弁護士・司法書士が個人再生の申立てを行い、債務の一部が免責されて残った額の分割支払をする再生計画案が許可されると、個人再生が成功したとして成功報酬の支払いが必要になります。
成功報酬の相場は0万円~30万円で、着手金でどの程度請求しているか、などによって異なります。こちらも、分割で支払うことが可能です。
申立てにかかる費用
個人再生を申し立てる場合、裁判所に
- 収入印紙:10,000円分
- 予納郵券:3,000円~5,000円(裁判所によって異なる)
- 官報公告費用12,000~18,000円(裁判所によって異なる)
を収める必要があります。
個人再生委員への費用
個人再生をする場合、裁判所から個人再生委員が選任されることが多いです。個人再生委員に支払う費用として、15万円~25万円(裁判所による)の支払をしなければなりません。
その他
債権者から訴訟を起こされた場合に、裁判所に出向く日当として、1回1万円~2万円程度+交通費の実費を支払うことになります。
また、弁護士が依頼者・裁判所・債権者に電話・郵送などを行なうための通信費などの請求がかかることがあります。
かかった実費を計算して成功報酬と一緒に請求する場合や、最初に一定の金額を請求する場合もあります。
個人再生の相場と債務整理に強い有名事務所を料金比較
それぞれの相場を、実際にいくつかの事務所の費用と比較して検討してみましょう。
相場 | 弁護士法人ユア・エース | 弁護士法人ロータス法律事務所 | 司法書士法人はたの法務事務所 | |
---|---|---|---|---|
相談料 | 30分5,000円~ | 無料 | 無料 | 無料 |
着手金 | 25万円~50万円 | 220,000円 (住宅資金特別条項がある場合は330,000円) |
330,000円 (住宅資金特別条項がある場合には440,000円) |
385,000円 |
成功報酬 | 0円~30万円 | 330,000円 | 330,000円 | なし |
その他 | – | HPには記載なし | 55,000円 | 管理費が発生するとの記載のみあり |
※各事務所の費用は税込の金額
着手金だけを見ると司法書士法人はたの法務事務所の金額が一番高いのですが、成功報酬がないのでトータルで見ると司法書士法人はたの法務事務所が一番安いといえます。
個人再生を任意整理・自己破産の費用相場と比較
個人再生の費用は任意整理や自己破産と比べてみましょう。
手続き | 費用の概算 |
---|---|
個人再生 | 30万円~70万円 |
任意整理 | 相談料:無料 着手金:1社あたり2万円~5万円 成功報酬:1社あたり0万円~2万円+減額した分の10% |
自己破産 | 相談料:無料 着手金:20万円~40万円 成功報酬:0万円~30万円 |
債権者と交渉をする任意整理は、債権者の数ごとの費用体系になっています。
同じように裁判所への申立てを行なう自己破産ですが、個人再生のように再生計画案をつくる必要がないので、費用が安めです。
任意整理は弁護士費用が安いのですが、元金を分割して支払う必要があります。
一方自己破産は個人再生よりも弁護士費用が安く、債務を免責してもらえますが、自宅を手放す必要がある、警備員や宅建業などの資格制限がある、などのデメリットがあることと一緒に検討する必要があります。
個人再生にかかる費用を安くするには?
個人再生にかかる費用を安くするには次のようなことを検討しましょう。
手続きの費用を安くするのは無理
まず、申立てにかかる費用・個人再生委員への費用について、安くすることはできません。
これらの費用については決められたものであり、自己破産のように仮支弁の制度はないので、どのような場合にも必ず支払わなければなりません。
そのため、弁護士・司法書士に依頼する費用をどうやって安くするかを検討することになります。
自分で申立てをするとかえって高くなることがある
費用を節約するという観点から、弁護士・司法書士に依頼しないで、自分で申立てを行なうのはどうなのでしょうか?
自分で申立てをする場合、弁護士・司法書士に作成を依頼したわけではないので、申立て内容をしっかり確認する必要があります。
そのため、個人再生委員の選任をしない裁判所でも、本人からの申立ての場合には個人再生委員を選任したり、個人再生委員にしっかり調査を行ってもらうために、報酬が高くなることがあります。
個人再生の申立てにミスがあると、個人再生ができなくなるなど、自分でやることにはリスクもあります。
また、弁護士・司法書士に依頼をすれば、貸金業者からの特則を止めることができるので(貸金業法21条1項9号)、心にゆとりを持って申立てが可能となります。
弁護士・司法書士に依頼をして個人再生を行なうことは、事実上必須であるといえるでしょう。
無料相談の制度を利用する
弁護士・司法書士への相談について、無料相談の制度を利用してみましょう。
居住している自治体で弁護士による無料相談を実施していたり、都道府県の弁護士会・司法書士会が無料相談を実施していることがあります。
また、一定の収入以内であれば、法テラスを利用すれば、無料で弁護士と相談ができます。
さらに、前述した通り、債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士であれば、借金問題については無料で相談を受けているので、積極的に利用してみましょう。
費用が安い専門家に依頼する
費用が安い専門家に依頼することを検討しましょう。弁護士・司法書士の費用は自由化されており、上述で比較したように、弁護士・司法書士によって費用が異なります。
費用の安い弁護士・司法書士を探して、依頼することは検討すべきことの一つです。
ただ、費用が安すぎるような場合、債務整理についての経験がない・乏しい、過去に懲戒処分を受けていて集客ができないので安くしているなど、安くなっている原因に注意が必要です。
司法書士に依頼する場合の注意
専門家に依頼する費用については、弁護士よりも司法書士のほうが一般的には安いです。
ただ、個人再生において司法書士は、裁判所に提出する書面の作成の代行ができるのみで、裁判所や個人再生委員の面談に同行できないなど、権限に制限があります。
また、本人による申立てと同視され、選任される個人再生委員の報酬が高くなることがあります。
司法書士に依頼する場合には、これらのデメリットをよく考えて個人再生を依頼するようにしましょう。
法テラスを利用する
法テラスは、着手金・成功報酬などの費用の支払いにも利用が可能です。
一定の収入以下であるような場合には、法テラスで弁護士・司法書士への費用を補助する民事扶助というものが利用可能です。
ただし、住宅ローンで自宅を購入するような収入がある場合、収入要件を満たさない場合もあるので、利用が可能か依頼をする弁護士・司法書士に相談してみましょう。
個人再生が安い!おすすめの弁護士・司法書士5選
個人再生を依頼するにあたっておすすめの弁護士・司法書士をご紹介します。
- 弁護士法人サンク法律事務所
- 弁護士法人ユア・エース
- 弁護士法人 響
- 弁護士法人東京ロータス法律事務所
- 司法書士法人はたの法務事務所
弁護士法人サンク法律事務所
名称 | 弁護士法人サンク法律事務所 |
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所在地 | 東京都中央区八丁堀4-2-2UUR京橋イーストビル2階 |
電話番号 | 0120-281-739 |
個人再生の費用 | 相談料:0円
着手金:440,000円 |
弁護士法人サンク法律事務所は、東京八丁堀に拠点を有する弁護士法人です。女性を含めた8人の弁護士が在籍しています。
債務整理・個人再生の他にも強みがあり、他にも個人に関する案件全般に取り扱っているので、様々な案件に対応可能です。
フリーダイヤルを設けており、相談料も無料なので、気軽に電話してみましょう。
弁護士法人ユア・エース
名称 | 弁護士法人ユア・エース |
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所在地 | 東京本店 東京都中央区日本橋堀留町2-3-14 堀留THビル10階福岡支店 福岡県福岡市博多区博多駅前1-15-20 NMF博多駅前ビル2階6号室 |
電話番号 | 0120-951-408 |
個人再生の費用 | 法律相談料:0円
着手金: |
弁護士法人ユア・エースは、東京・福岡に拠点がある弁護士法人です。元は弁護士法人天音法律事務所という事務所で、債務整理に非常に定評にある事務所です。
16人もの弁護士が所属しており、債務整理のみならず様々な案件に対応しています。フリーダイヤルには24時間365日対応可能となっているので、気軽に電話をしてみてください。
弁護士法人 響
名称 | 弁護士法人 響 |
所在地 | 西新宿オフィス 京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階虎ノ門オフィス 東京都港区虎ノ門3-19-13 スピリットビル4階立川オフィス 東京都立川市曙町2-16-6 テクノビル4階大阪オフィス 大阪府大阪市中央区淡路町2-4-3 ISOビル6階福岡オフィス 福岡県福岡市中央区舞鶴3-1-10 オフィスニューガイア セレス赤坂門NO.19 11階那覇オフィス 沖縄県那覇市久茂地2-22-10 那覇第一生命ビルディング3階 |
電話番号 | 0120-205-376 |
個人再生の費用 | 相談料:0円 着手金:330,000円~ 成功報酬 住宅なし:220,000円~ 住宅あり:330,000円~ |
弁護士法人響は、東京・大阪をはじめとした6ヶ所の拠点を有する弁護士法人です。
合計34名もの弁護士が所属するほか、グループで税理士法人・社会封建労務士法人・行政書士法人・調査会社などを有しており、ありとあらゆるサポートが可能です。
債務整理にも非常に強みを持っており、大きな規模で業務をしているので、実績が多く、メディアへの出演なども多数行っています。
相談無料で弁護士費用の分割も可能なので、気軽に相談してみましょう。
弁護士法人東京ロータス法律事務所
名称 | 弁護士法人東京ロータス法律事務所 |
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所在地 | 東京都台東区東上野1丁目13番2号成田第二ビル2階 |
電話番号 | 0120-316-715 |
個人再生の費用
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相談:無料 着手金330,000円 報酬金:330,000円 諸費用:55,000円住宅ローン特則有:110,000円 |
弁護士法人東京ロータス法律事務所は、東京に拠点がある弁護士法人です。弁護士1名ですが、ホームページでもわかるように、債務整理に特化しています。
元は岡田法律事務所という事務所が法人になったもので、岡田法律事務所時代から、債務整理の経験は豊富です。
相談は無料で、フリーダイヤルも設けているので、安心して相談してみましょう。
司法書士法人はたの法務事務所
名称 | 司法書士法人はたの法務事務所 |
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所在地 | 東京本店 東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階大阪支店 大阪府大阪市淀川区西中島4-11-21 新大阪コパービル303 |
電話番号 | 0120-963-164 |
個人再生の費用 | 相談料:無料 報酬385,000円~ |
司法書士法人はたの法務事務所は、東京と大阪に拠点を有する司法書士法人です。3名の認定司法書士が所属していて、債務整理・過払い金請求に強みをもっています。
個人再生について権限が制限されている司法書士なので個人再生の依頼には向かないケースもあります。
しかし、まずは解決方法として個人再生が良いのかを確認してもらうのが良いでしょう。相談は無料なので、気軽に相談してみましょう。
個人再生の費用が支払えない場合には?
個人再生の費用がどうしても支払えない場合の対応方法を検討しましょう。
自己破産手続きを利用する
個人再生の弁護士・司法書士に対する費用の支払いができないケースでは、個人再生を行っても返済をすることができない状況です。
個人再生はあくまで返済をする手続きなので、弁護士・司法書士への費用すら支払えない状況になっている場合には、個人再生の利用がそもそも適切ではないと考えられます。
そのため、自己破産手続きを利用して、債務の免責をしてもらうのが良いでしょう。
所有している不動産は任意売却
不動産を所有している場合、任意売却を行いましょう。任意売却とは、抵当権の実行によって競売されるのではなく、債権者の意向を確認しながら売却する不動産売却をいいます。
不動産を売却しても、抵当権が残っているうちは、その売却代金は住宅ローンの返済にあてられるのですが、競売よりも売却代金が高くなる任意売却で住宅ローン債権者の債権回収に協力することで、引っ越しをするための費用を工面してもらえることがあります。
やむなく住宅を手放さなければならない場合でも、任意売却を検討しましょう。
分割払いを利用する
上述したとおり、個人再生は着手金でも25万円~程度の費用がかかるのですが、債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士であれば、費用は分割払いを認めてくれます。
個人再生を依頼した後は債権者に対する支払いもストップするので、今まで返済をしていた金額を弁護士・司法書士に分割で支払うことができます。
債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士は、無理なく費用を支払える仕組みもととのえているので、気軽に相談してみましょう。
まとめ
このページでは、個人再生にかかる費用についてお伝えしました。個人再生は、弁護士・司法書士に依頼をする・裁判所に申立てをする、ことが必要で、それぞれに費用がかかります。
債務整理に取り組んでいる弁護士・司法書士であれば、無理なく払える仕組みがあるので、費用の点で不安な場合でも、まずは相談してみるようにしましょう。