借金に苦しむ人々にとって、自己破産は救いの一つとなるかもしれません。しかし、自己破産を選択する前に、それがもたらすデメリットを理解することは非常に重要です。
自己破産は借金を解消する手段ですが、信用情報の悪化、資産の喪失、職業や資格の制限など、数々のリスクが伴います。
この記事では、自己破産がもたらす可能性のある9つのデメリットについて詳しく解説します。
【2024年版】自己破産とは?4つのメリットと9つのデメリットをわかりやすく解説!目次
自己破産すると起きる9つのデメリット
自己破産という大きな決断をする前に、その結果としてどのようなデメリットが生じるのかを把握することは重要です。
自己破産は借金問題からの解放の道でありますが、それは一方で生活にも多くの影響を与えます。ここでは、自己破産をするとどのようなデメリットがあるのかを9つの視点から考察します。
信用情報に記録され、ローンやクレジットカードを5年以上利用できない
自己破産が信用情報に記録されると、その情報は一定期間信用情報機関に保持されます。具体的には、免責が確定してから5年間、破産の記録が残ることになります。
その間に金融機関から新たなローンやクレジットカードを申し込むと、ほとんどの場合で審査に通りません。
信用情報は多くの金融機関が参照するため、一度信用情報に傷がつくとその後の金融取引に大きな影響を与えます。 この5年間は信用回復期間とも言えます。
この期間を無事に過ごし、再度債務問題を起こさないという行動履歴を作ることで、信用力の回復が期待できます。 しかし、この期間中は金融取引が非常に制限されるため、生活に大きな影響が出ることも覚悟しなければなりません。
自己破産するとクレジットカードを5年以内に使用できない?新たなカードはいつから作れるのか自宅や車など所有資産の大部分を失う可能性がある
自己破産をすると、所有している資産の大部分が破産管財人によって処分されます。自宅や車、その他の貴重な資産もこの対象となります。
これらの資産は借金の返済のために売却され、その売却額が債権者への返済に充てられます。
ただし、生活必需品や住宅など、生活を続けるために必要な最低限の資産(生計財)は処分の対象外となることが多いです。 しかし、一部の財産はどうしても手放す必要があるため、その点を理解しておくことが重要です。
一部の職業・公的資格は制限される
自己破産は職業選択に影響を与える場合があります。特に、金融関連の仕事や公的資格を有する職業では、破産者に対して一定の制限があります。
たとえば、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士などは、破産や重大な債務整理をした場合、資格の停止または剥奪の対象となります。
また、金融機関や信用業者等で働いている人も、自己破産をするとその仕事を続けることができない可能性があります。
官報に個人情報が掲載される
自己破産の手続きが始まると、その事実は官報に掲載されます。この官報は一般に公開されており、誰でも閲覧することが可能です。
つまり、自己破産をすると、その事実が社会に公になるわけです。官報には、破産手続きの申立人(債務者)の氏名や住所、生年月日、破産申立の日付などが記載されます。
自己破産で個人情報が官報に掲載される!名前検索はされるの?免責不許可になる可能性がある
自己破産をすると、基本的には債務が全て免責(帳消し)になりますが、一部の状況では免責が認められないこともあります。これを免責不許可といいます。
例えば、債務を隠したり、偽りの情報を提供したりした場合などは、免責不許可の対象となる可能性があります。
連帯保証人に迷惑がかかる
自己破産をすると、連帯保証人にも影響が出ます。連帯保証人は、債務者が返済不能になった場合、その債務を代わりに返済する義務があります。
したがって、債務者が自己破産すると、連帯保証人が全額を返済することになる可能性があります。
携帯端末の分割購入ができない
自己破産をすると、その後のクレジット取引が制約されます。その一例として、携帯端末の分割購入が挙げられます。
携帯端末の購入は一種の信用取引であり、その信用情報に破産の記録が残るため、新たな契約や端末の分割購入が難しくなる可能性があります。 また、既存の契約についても支払い遅延等があると解約されることがあります。 自己破産しても携帯契約はできる?新規契約で審査に通るコツ
破産管財人に郵便物がチェックされる(管財事件の場合)
自己破産が決定されると、まず債務者の資産は全て破産管財人の管理下に入ります。このため、債務者の郵便物が破産管財人によってチェックされる可能性があります。
特に、債務者の資産に関する情報を探るため、手紙や書類の内容を確認することがあります。
自由に引っ越しや旅行ができない(管財事件の場合)
自己破産手続きが進行中の間は、生活に一定の制約が生じます。特に、引っ越しや旅行などについては破産管財人の許可が必要となる場合があります。
これは、破産管財人が債務者の財産状況を把握し、適切に手続きを進行させるための措置です。
これらの制約は、手続きが完了し免責が確定するまでの間だけ適用されます。
専門家から一言
自己破産で得られる重要メリット4つ
自己破産は借金からの完全な解放を得られます。具体的には、以下のようなメリットがあります。
免責が認められると全ての債務から解放される
自己破産手続きが進むと、まず裁判所から免責決定が下ります。これにより、全ての借金が一度に帳消しになります。
ただし、免責が認められない特殊な債務(例:養育費や詐欺などによる債務)を除きます。これは、金銭的な負担からの解放だけでなく、精神的な解放も意味します。
これにより、借金に囚われた状態から脱出し、新たな生活をスタートさせることができます。
督促や取立てから解放される
自己破産の申立てが裁判所に受理されると、直ちに債権者からの取り立てや督促が禁止されます。
これにより、毎日のように受けていた電話や訪問から解放され、生活に平穏が戻るでしょう。 このメリットは、取り立てや督促により生活に影響を受けていた人にとっては特に大きなメリットとなります。
破産手続きが終了すれば、新たな経済生活を始めることが可能
自己破産の手続きが終了し、免責が確定すれば新たな経済生活を始めることができます。
自己破産は信用情報に登録されますが、ある一定の期間が経過すればその情報は消去されます。 その間に生活を立て直し、信用情報を清算するための新たなスタートを切ることが可能です。
必要最低限の生活財産は保護される
自己破産を行うと、多くの財産を失うことになりますが、最低限の生活に必要な財産(家具や家電製品、職業上必要な道具や装置など)は保護されます。
これは、「破産者が再生するためには一定の生活基盤が必要である」という法の理念から来ています。 具体的には、日々の生活を支えるための基本的な家具や家電、またはあなたの仕事を続けるのに必要な道具などは、破産の範囲外とされます。
さらに、生活保護法に基づく必要最低限度の生活資金も保護されます。
専門家から一言
それは一時的な逃避ではなく、借金問題と真剣に向き合い、解決するためのステップなのです。しかし、自己破産は個人の信用情報に影響を及ぼし、一定期間新たな借入れが難しくなる等のデメリットもあります。よって、よく考えてから決定することが重要です。
破産は最終手段であり、可能な限り他の解決策を試みるべきです。特に専門家に相談することを強くおすすめします。
注意!自己破産で免責不許可事由となる3つのケース
自己破産の手続きは多くの債務者にとって救済手段となりますが、必ずしもすべての人が免責を受けられるわけではありません。
自己破産を行う際には、免責不許可事由となる行為を避けることが重要です。ここでは、自己破産で免責不許可となる3つの具体的なケースについて解説します。
特定の債権者だけを優遇して返済する
まず最初に注意するべきは、特定の債権者だけを優遇して返済を行うことです。これは「偏頗弁済」(へんぱへんさい)と呼ばれ、個人再生や自己破産の免責不許可の一因となります。
自己破産の手続きは公正かつ公平に行われるべきものです。そのため、特定の債権者にだけ恩恵を与える行為は、その公正さを損なう行為と見なされます。
このような行為は、他の債権者の権利を侵害し、法的な問題を引き起こす可能性があるため、避けるべきです。
財産を隠したり、虚偽の情報を提供する
次に、破産手続きにおいては、財産を隠したり、虚偽の情報を提供することも重大な問題となります。
自己破産手続きにおいては、個人の財産情報を正確かつ全面的に開示することが求められます。
これは債権者に対する配慮と、公正な手続きを確保するための重要な要件です。 財産を隠したり、虚偽の情報を提供した場合、これは不正行為と見なされ、免責不許可の理由となります。
債務が税金など非免責債権である
最後に、非免責債権について理解しておくことが重要です。これは、自己破産手続きによって免責されない債務のことを指します。
一般的には、税金、罰金、慰謝料、養育費等が非免責債権に該当します。これらは社会的に特に重要な債権であり、たとえ自己破産手続きを行ったとしても免責されません。
従って、非免責債権に対する債務を持つ場合、自己破産を申し立ててもその債務が全て消えるわけではありません。
専門家から一言
知っておきたい自己破産に対する誤解3選
自己破産とは、債務が返済不可能な状態に陥ったときに法的手段を用いて債務を免責する手続きです。
しかし、自己破産については誤解が多く存在します。 ここでは、よくある自己破産に対する誤解を3つピックアップし、事実に基づいてそれぞれを解説します。
すべての財産を失う
自己破産を申し立てると一部の財産は没収されますが、すべてを失うわけではありません。法律により生活必需品など一定の財産は保護されます。
これには、日常生活に必要な衣服、家具、職業用具などが含まれます。したがって、「自己破産をすればすべての財産を失う」という誤解は、事実とは異なります。
働けなくなる
自己破産が働くことに影響を与えることはありません。自己破産は債務者の経済的な状況をリセットし、再出発を可能にする手段です。
しかし、特定の業種や資格によっては自己破産が制限をもたらす場合もあります。それでも、多くの業種では通常通りに働くことができます。
一生借金ができなくなる
自己破産を申し立てると、その記録は一定期間信用情報に残りますが、それが一生借金ができなくなるわけではありません。
通常、信用情報機関によって5~7年の間に記録は消えます。その期間が過ぎれば、再度ローンを組むことも可能になります。
【体験談】自己破産に成功した人の口コミ
2024年10月、自己破産に成功した人の最新の口コミ・体験談を集めました。これから債務整理をしようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。58歳 男性 自営業
34歳 女性 派遣社員
42歳 男性 不動産業者
29歳 男性 プログラマー
自己破産の無料相談ができる!おすすめの弁護士・司法書士事務所【2024年10月更新】
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まとめ
自己破産には様々なデメリットが付随します。信用情報に記録されるため、将来的にローンやクレジットカードを利用する際に制限が生じる可能性があります。
また、所有資産の多くを失うことも予想されます。一部の職業や資格には制限が生じることもありますし、官報に個人情報が掲載されることになります。
さらに、免責不許可になる可能性もあります。連帯保証人には迷惑がかかりますし、携帯端末の分割購入も困難になります。
また、破産管財人による郵便物のチェックや、自由な引越しや旅行の制限も生じることがあります。それらを理解した上で、自己破産を選択することが求められます。